蒼穹の昴(1) (講談社文庫)のレビュー
逆説的近世中国史
一連の新撰組小説など、浅田次郎の小説は面白いものが多い。
NHKの放送に先立読み始めたが、巻が進むに連れ無理な筋立てが目立ってしょうがない。
詳しくは書かないが、清朝最大にして最高の乾隆帝が、慈母で観音の生まれ代わり(!)の西太后の懇願にも拘らず、
亡国を指図し、そのように進めていくことには無理がある。我々が習った歴史と違い、こういう解釈があり得る、
とも思えない。
ただ直木賞候補作のことはある。
NHKの放送に先立読み始めたが、巻が進むに連れ無理な筋立てが目立ってしょうがない。
詳しくは書かないが、清朝最大にして最高の乾隆帝が、慈母で観音の生まれ代わり(!)の西太后の懇願にも拘らず、
亡国を指図し、そのように進めていくことには無理がある。我々が習った歴史と違い、こういう解釈があり得る、
とも思えない。
ただ直木賞候補作のことはある。
言葉遣いが気になる。
さすが、浅田さん、娯楽性に飛んでいて、やっぱり読み物はこれでなくっちゃなあという感じがいたしました。しんねりむっつり自己の体験をシコシコ書いている芥川賞系列の純文学とはえらい違いです。ただ、どうしても一つだけ気になる言葉遣いが。中国の大河小説というだけあって途中漢文がふんだんに登場し、地の文にもそのような言い回しが多く見られるのですが、その中の「すべからく」。これは「当然」「必ず」という意味の副詞で、文末は「べし」(あるいはそれと同内容の言葉)で結ばなくてはなりません。非常に誤用が多い語でもあります。浅田さんもごたぶんにもれず、「すべて」の意味で使っておいでのように受け取れます。登場するたびに気持ちが悪くてかないません。(合っている部分も少しありますが)。版を重ねるときに直してくださらないかなあ。
近代中国をここまで面白く書けるとは。
高校時代,世界史で中国近代史も少しだけやったけど,教科書に「李鴻章」とか「袁世凱」の名前がゴチック体太字になってるので,興味ないけど覚えた。
つまらなかったので,その後,忘れた。
そんな「李鴻章」や「袁世凱」を激動時代に生きる血の通った人物として
生き生きと描き出す浅田次郎さんの筆力はさすがでした。
「面白い」という意味では文句なく,4巻一気に読みました。
マジメに書いているとはいえ,浅田節は健在で,会話はテンポ良く,時折ひょうきんですらあります。
西太后の権力に対する執着ぶりを慈悲と解釈するのは,
ちょっと無理があったように思いますが,
全体が面白いので,評価を損ねるほどではありませんでした。
個人的には,主人公春児の妹「玲玲」がよかったです。
春児のように出世階段を登っていくわけではないので,
大人になっても,遠い世界の人物として描かれず,
常に身近な存在として現実感をもって登場します。
ひたむきでチャーミングな名脇役でした。
フィクションながら,ストーリーの最後,
彼女の昴をつかんで幸せになってほしいなあと思いました。
つまらなかったので,その後,忘れた。
そんな「李鴻章」や「袁世凱」を激動時代に生きる血の通った人物として
生き生きと描き出す浅田次郎さんの筆力はさすがでした。
「面白い」という意味では文句なく,4巻一気に読みました。
マジメに書いているとはいえ,浅田節は健在で,会話はテンポ良く,時折ひょうきんですらあります。
西太后の権力に対する執着ぶりを慈悲と解釈するのは,
ちょっと無理があったように思いますが,
全体が面白いので,評価を損ねるほどではありませんでした。
個人的には,主人公春児の妹「玲玲」がよかったです。
春児のように出世階段を登っていくわけではないので,
大人になっても,遠い世界の人物として描かれず,
常に身近な存在として現実感をもって登場します。
ひたむきでチャーミングな名脇役でした。
フィクションながら,ストーリーの最後,
彼女の昴をつかんで幸せになってほしいなあと思いました。
浅田作品の最高峰!
読み終えたときにこんなに衝撃を受けた作品は初めてでした。
続編の「珍妃の井戸」、「中原の虹」とともに、
浅田次郎作品の最高傑作と言える一作ではないでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、著者のエッセイ「勇気凛々ルリの色」にも、
この本の編集者さんが登場しています(名前は伏せられていますが・・・)。
こちらもオススメです!
続編の「珍妃の井戸」、「中原の虹」とともに、
浅田次郎作品の最高傑作と言える一作ではないでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、著者のエッセイ「勇気凛々ルリの色」にも、
この本の編集者さんが登場しています(名前は伏せられていますが・・・)。
こちらもオススメです!

一度読み始めると、寝食を忘れて読み進んでしまう、壮大なエンターテインメント作品。
実はこの作品、私は雑誌連載時から読んでいたのだが、その読書形態には酷な面があった。
何しろ、読み始めるとやめられなくて、次の号の連載が、待ちきれなかった。
もう一度読み返したくて、全4巻の文庫を購入した次第だ。
なお、ハードカヴァーは全2巻に収まっている。
私の周囲の人の意見は、抜群に面白いけれど、舞台が中国であるために、人名が覚えにくいというものが多い。
確かにそういう面はあるが、主要登場人物は比較的少数だし、人名が曖昧になったとしても、面白い。
それは、長編であるものの、細部にわたって興味深い内容が散りばめられているからだ。
また、著者独特の幻想性も楽しめる。
文秀が科挙を受ける際と、そして、その後の亡母の声を聴く場面などがそうだ。
幻想性に加えて、こういう部分は、泣かせどころでもある。
主要登場人物の聡明さ、知識の深さなどにも感嘆させられる。
また、当時の中国の国力の大きさも実感出来、絢爛そのものであるが、大部分の人民との格差も大きい。
必ずはまる、壮大な歴史ロマンだ。